Act.05 君の心。 朝食はカフェオレと早朝アニメから。 「内山さん!怪我人の時ぐらい早起きして、私の朝食作ってくださいよ!」 「ん〜後五分寝たら行くけんさぁ」 「もう、五時三十分からのぶどうパンメンが始まるでしょ!カフェオレ!」 早朝だというのに騒々しい。今まで見せることはなかったが、これがラコンドの朝である。 起床時刻五時。前日に何があろうと、未結はこの時間に起きるようにしている。別に年がどうというわけではない。先ほど未結自身が述べたように、毎朝楽しみにしている唯一の早朝アニメがあるからだ。干しぶどうたっぷりのぶどうパンメンが、干しぶどう嫌いの子供達に好き嫌いをなくそうと己の体をちぎって食べさせるお話。 『何のためにぶどうを、練りこんでパンにする?いろんな人が嫌う、干しぶどうを背負い…』 大音量で流れる主題歌を聴きながら着ぐるみパジャマで降りてくる内山。何故未結がこれを好んで見ているのか彼は理解できずにいる。まぁ、好みは人それぞれ。歌によって釘付けになり始めた未結の手からフライパンを受け取ると、スクランブルエッグとベーコンを焼く。トーストを二枚準備してお皿に盛り、カフェオレをつければ、未結用の特製朝食の完成。 「はい、未結。朝食やよ」 「うん、ありがとう」 ほかほかふわふわのスクランブルエッグをパンに乗せ、さっとマヨネーズ。二つは桟で口に放り込めば、すてきなハーモニーが生まれる。それを食しながら六時までの時間を未結はまったりと過ごしたのだった。 「そういえばさぁ」 六時も三十分を回り、朝食で使った皿を内山が片付けていると、二杯目のカフェオレを飲んでいた未結が呟いた。「なん?」内山は持っていた皿を置いて返事する。 「結婚っていいよねぇ」 「は?何を突然、どうしたん?」 「ほら、こないだのお仕事でさ」 豆鉄砲食らったような顔をする内山に、未結はカップを扱いながら語る。 「結婚指輪の話があったじゃない?で、私の両親もちゃんとつけてたのかなぁって」 「そりゃ、お互い愛し合っとったしね。てか未結も見たことあろうもん。二人の薬指」 「うん。でも、居なくなる直前までつけてたかどうかなんて分かんないし。喧嘩で居なくなったのかもしれないし」 「…そうナーバスにならんでいいって。未結の母親と父親は仲良かったし、こないだの人だって良い生活を送れるよ」 「あぁ、私もそういう相手が欲しい」 まもなく未結を学校へ引き取りに裕太が現れ、未結は内山に見送られる。 「未結、行くで」 「はい。いってらっしゃい」 「いってきます」 「近くに居るもんやない?『そういう相手』ってさ」 ××× 午前の授業は数日前の憂鬱な授業よりいくらかましで、未結はノートをそれなりに取りながら携帯をいぢっていた。 『ニュースのページは…月夜の怪盗のことでいっぱいかぁ。まぁ、銃撃戦もあったし、載らない方がおかしいか。…あれ?』 ふと視界が暗くなって未結は顔を上げる。すると、笑顔の西沢と今にも腹抱えて笑い転げそうな隣の席の裕太がそこに。 「何見よるん?今何の時間か分かるよなぁ?」 「英語」 「せやったらえぇねん。で、携帯仕舞って前の文全部訳してもらおか?」 苦笑する未結に西沢はそういうと、使いはじめのチョークを手渡し、黒板二枚いっぱい(和訳書く部分空き)の英文を指差した。第三者が思うに、その黒板二枚いっぱいに書き上げた西沢に拍手を送りたいと思うが。 未結は席を立ち、笑いかけの裕太をさりげなく蹴り上げると、上の黒板を下ろして和訳に手を付ける。 十五分くらい経ち、授業の終わりまで後二十分。和訳なしの黒板は奇麗なノートよろしく見やすい和訳付き黒板へ変貌を遂げた。 「これで、お咎めなし?」 満面の笑みで未結が言うもんだから、西沢は投げやりに「えぇよ」そう言い、クラスのみんなに写すよう告げる。裕太も面白くないと思いつつではあったが、完璧な板書にグゥの音も出ず、大人しく書くしかなかった。 「どないしたらあんなんできんの?」 予習だよ、裕太君。 放課後の掃除の時間。裕太は箒をバットのように振り回しながら他の男子生徒と戯れていた。 「俺は最高のバッターやからなぁ」 「へぇ、俺の豪速球を打てるかな?」 高校生にもなって掃除中に戯れるなんて、未結は馬鹿馬鹿しくなりながらも早く終わらせようと箒を正当な使い方で掃除を進めた。と、その時…。 「うげっ!月浦危ない!」 「えっ?」 呼ばれて振り向くと雑巾がこちらに向かって飛んで来ており、未結は即座に逃げる体勢を作った。 スローモーションに感じた。雑巾が前面黒板にあたるのと、よろめいた拍子に左腕の傷が思いきり教壇にぶつかるのが。誰かが倒れる未結に声をかけるが、あまりの痛みに未結は答えることができない。長袖のブラウスの下に包帯を巻いているため心配性の裕太にばれないと思っていたのに、未結にしてみれば最悪の誤算である。 『あぁ、冷や汗出る。頭痛い。誰だ、雑巾をこっちに投げつけたのは。あぁ、裕太か。裕太が箒で打ったのか。あんたのために黙っていたのに、これじゃバレバレで余計な心配かけちゃうんじゃないの。いい加減にしなさいよ。ばかばか…ってか、あんたこの痛み受けてみる?おい、聞いてんのか、このバカザルめ』 「…ゆ、未結?」 『痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い』 「だ、大丈夫?」 「痛いに決まってるだろ、この猿顔めぇ!…はっ」 やってしまった。悶々と苛立ちを巡らせていたら、段々と溜まらなくなって吐き出してしまった。未結はものすごく心配している裕太を前に痛みからくるものとは違った冷や汗が流れる。一方裕太は唖然としており、未結から放たれた『猿顔』という言葉にショックを受けていた。 「と、とにかく保健室行くか?月浦」 二人して固まっていたが、雑巾を裕太に投げた男子生徒が未結を立たせて肩を貸すと保健室へ連れて行った。 「大丈夫?」 残された裕太を慰めようと未結が居なくなった後、一緒に掃除をしていた別の女子生徒が声をかけていたが、裕太には何にも聞こえずただ彼の頭の中で何度も『猿顔』が木霊すだけだった。 「…俺、そんなに猿顔?」 「そうでもないと思うよ」 保健室へ向かった二人は、その道中ただひたすらに沈黙を守った。少しは喋れば良いのに。まぁ、ただのクラスメイトだし、大元の原因でもあったりして喋ろうにもなんて言えばいいのか分かるまい。とりあえず、保健室へ着いた二人は保険医に事情を説明して、裕太が立ち直るまでここで休ませてもらうことにした。 「帰ってもいいのに」 しばらくソファーに腰掛けて保健室にある資料を暇つぶしに読んでいた未結だったが、目の前で凝視している男子生徒が気になって声をかける。男子生徒は「いや、待ってる」それも凝視したまま言い、またひたすら未結を見ていた。未結は凝視するのやめてと言いたかったが、別に自分が気にしなければいいわけだし、ついでに言うともしかしたら思い過ごしかも知れない。未結はまた努めて気にしないように資料に目を通し始め、のめり込んでいった。 またさらに時間は経った。といっても、数十分といったところだろう。不意に男子生徒からの視線が消えたので、未結が『応急処置の方法』の本から目を離すと目前に男子生徒の姿があり、後ずさった。 何してるの?未結は問いかけながら右手を後ろにやって護身用の突起物のないサックを指にはめ準備をする。普通の女子高生がこんなもの普通持っていないだろうと思うが、如何せん未結は普通ではない。徐々に距離を縮めてくる男子生徒に未結が右手で一撃を食らわせようとした瞬間、左腕を握りしめられ痛みに震えた。 「血…出てる」 「へっ?」 「ここ、ブラウスにつく」 男子生徒に言われ、さりげにサックを取り外して左腕を見てみるとうっすらと包帯がとれているのが分かり、その下から傷の開いたのがよく見えた。 「元々怪我してたんだな。…悪い、遊んでて」 謝るくらいなら最初からふざけないで掃除してくれ。と言いたかったが、男子生徒はすばやく血がつかないようにブラウスをめくり上げると消毒液と新しい包帯を棚から拝借して治療を施す。明らかに擦り傷や切り傷なんかとは違う傷なのは分かると思う。けれど、彼は何も言わずに奇麗にテーピングまでを済ませた。 「…あ、ありがと」 一瞬でも襲ってくると思った自分がアホだったかも。未結はそう感じながらまたしっかり治療された左腕の包帯を眺める。 「そういう傷はすぐに熱を持ちやすいから気をつけろな」 「…あ、うん」 「そんじゃ」 「え?」 先ほどまで帰れと言っても帰らなかったというのに、どうしたのだろうか。左腕を降ろして思わず声を出してしまうと、男子生徒はドアの方を親指で指差す。まもなくしてドアが開き、裕太の顔がひょっこり顔を出した。 「帰ろや」 未結はうっかり左腕を隠し忘れて、慌てて左腕のブラウスの袖を元に戻すと男子生徒を追い抜いて保健室を出て行こうとする。 「あ、そうそう。ありがとう、黒塚君」 「良いんだよ。俺が悪かったんだし、本当気をつけろよな。月浦」 「未結」 「分かった。じゃ、行くね」 「じゃあな」 「ばいばい」 急かす裕太に引っ張られ、未結は教室を出て行く。そういや、黒塚って聞いたことが…ま、いっか。 帰り際、裕太は左腕をじっと見つめたまま無言で未結の隣を歩いていた。正直、未結にとってうっとうしい。 「あのさ、そんなにひっつかなくてもいいし見つめなくてもいいんだからさ」 「…せやけど、怪我してんねんやろ?その左腕」 「ただの擦り傷よ」 「そんなんちゃうやろ。掃除の時間あんな痛がっとったやん」 「当たり前でしょ!元々怪我してる所をぶつけたりしたら痛いに決まってる」 「…やけど、なんで言うてくれへんかったん?怪我しとるなら、掃除他の人に頼んだりでけたかもしれへんやん」 「それとこれとは別よ。自分の仕事を押し付けられないわ」 「そんなん押しつけやないやろ!」 「いいじゃない!」 「…すまん」 心配性の裕太がなにかとせっついていると、未結は強い口調でそれを引きはがしきつい眼差しを向ける。裕太は捨てられた子犬のように未結を見つめていたが、この時ばかりは邪魔にしか見えなかった。 携帯のバイブが鳴る。未結は自分の携帯を胸ポケットから出して出ると、いつもの彼からの電話に受け答え。また新しい仕事が入ったようだ。一通り聞いて通話を終了させると、早口に裕太に告げ早々にその場を去った。 一人取り残された裕太は下唇を噛み締め、自分の帰り道の方角に体を向けると、重い足取りで歩いた。 そもそも裕太がこんなにまで心配性になるのは、彼の家庭環境が原因だった。 彼が小学四年生だった頃、彼の父親が会社の上司に連れられて行ったクラブで多額の金を使ったという出来事があった。母親はただひたすら浮気ではなく付き合いで行ったことだし、その借金は父親が自分で返すということになったからその時はよかった。だが、さらに一年経った頃にはその借金は倍額以上に膨れ上がり、父親はそのクラブで女を作り…母親は次第に精神的におかしくなっていた。 母親は家族の中でも力の弱い裕太の妹の千夏を虐待し、それを止めようと裕太は母親に歯向かい…。気付けば家庭環境は完全に崩壊を迎え、結果父親は浮気した相手と新しい場所に住むことになった。裕太は母親、千夏は父親。子供達に選ぶ権利なんてこれっぽっちも残ってなかった。 「裕太、お前が俺の所に来たらあいつがちょっかい出すかも知れないから来るんじゃない」 「せやったら、千夏は?千夏は俺と一緒に居てもえぇやろ」 「千夏はとち狂った母親より、まともな母親に育てられた方がましな女になるだろ」 最後の抵抗に、千夏と一緒にいたいと願った時、父親は裕太に言った。口から出てくる台詞は千夏を考えた言葉だったかも知れないけれど、裕太は父親の目を見て悟った。千夏のことを思って放った言葉ではなく、自分の所に侍らせておきたかっただけだったと。 「千夏、俺絶対いつか千夏を助けに行くからな」 「…兄ちゃん」 「何?」 「でけへんよ。兄ちゃんには」 「なんで?なんでそないなこと…」 「やって、そんときには千夏…いい子やなくなってるよ。兄ちゃんに助けてもらえるようないい子やないよ、きっと」 千夏は気付いていたのだ。裕太と離れて、自分はどうなるか。けれど、その時の裕太にはどうすることもできなかった。無力な自分が悔しかった。 時は経ち、千夏は高校一年生。バスケ推薦で水南に特待生として入学したと聞く。会いに行こうか裕太は何度か考えたが、メールで『大丈夫やから』と千夏から暗に来ないでと言われてる気がして踏み切れなかった。 「…帰ったで」 都会と裏地の中間地点にあるぼろアパートの二階。手前から二つ目のドアを開ける裕太。はじめに臭うアルコール臭。部屋の中には酔っぱらいの裕太の母親。昔はどこにでもいる肝っ玉母ちゃんだったのに今はどうだろう。跡形もなく消えている。 「遅いやないの。何処まで行っとったん」 「未結送って来ただけや。それにまだ、五時にもなってへん…っし」 問いかけられたのに対して裕太は鞄を台所のテーブルに置きながら返事をしていると、後ろから襟首掴まれそのまま引き倒された。 「あんたも女たぶらかしとんの?」 「ちっ、違うて!未結はおかんも知っとるやろ、幼なじみやったや…っ」 「嘘は聞かんで。あんたもうちを笑うとんのやろ」 「違う」 「父ちゃんに逃げられて、酒に溺れて。今度はあんたまで…。どんだけうちを苦しめたら気が済むん?なぁ、答えてんか」 馬乗りになって首を絞めてくる母親に、息苦しさを覚え逃げようとする裕太。しかし、抵抗をしすぎると余計に母親の怒りを逆撫でしかねない。なんとか抵抗しないように両手を背中の下に敷いて目を閉じると、早く手を離してくれないかななんて思いながら、気を失った。 この苦しみから誰か解放してくれへんやろか。 ××× 今日の仕事は意外とハードだった。裏地内での仕事だったから銃持ってる人なんてざらにいたし、細い道だからいつもの二人に追いかけられるのもきつかった。だから、今日は早くラコンドの二階にある自分の部屋でふかふかのベットに寝転がって眠りにつきたかった。けれど…。 目に焼き付く赤々とした炎。それを火事だと認識するのに時間がかかった。 「裕太!」 未結はすぐに駆け寄ろうとした。が、丁度こちらも様子を見に来たのだろう。内山に路地裏へ引き込まれる。 「何しよるとよ…。その格好で行く気なん?」 怪盗の姿のままの未結を指摘し、こうなることを予想していたのか家から持って来ていた服を渡して目を塞ぐ。未結は急かす気持ちを抑えながら着替えを済ますと情報はないのかと内山に言い寄る。 「とりあえず、中に居た人は生きとるって。ただ、母親はアルコール中毒。彼は首を絞められた跡とかあったりしとって、病院らしいよ」 命に別状はないらしい。内山が淡々と述べると、未結はその場にへたりこんだ。仕事で疲れていたのは本当だが、それ以上に裕太が首を絞められていた…その相手も容易に想像できて、あぁ裕太はどうしてあんなに心配性なのというその疑問も今まさに解決された。そうなると、夕方の自分の態度が妙に酷いことをした気がして、胸が苦しくなった。 翌日、病院を教えてもらったが面会は拒絶されてしまった。誰とも話したくないらしい。未結は病院のロビーでそう言い渡され、行く当てもなく、裕太の家の近くにある公園のブランコに腰掛けた。 ―小さい頃、このブランコで裕太と私が靴飛ばししたりお母さんとかに後ろから押してもらったりしてたな。そうそう、私も裕太もまだ同じくらいの背でさ。どっちが大きい?なんてほんの数ミリの差なのにお母さん達に言い寄って…裕太のお母さんはいっつも笑って『裕太、あんたもう少し大きくなれへんの?』って。妹の千夏ちゃんも『兄ちゃん、もしかしたら千夏の方が大きくなるかもしれへんよぉ』なんて。 「あの時はとても仲が良かったのに…」 どこでおかしくなってしまったのだろうか。裕太の母親がそんな風になっていたのだって、私はこれっぽっちも知らなかった。 裕太…なんで言ってくれなかったの?分かってたら、少しでも助けてあげられたかも知れないのに。 『未結はいつも口だけや』 え? 『未結はそう言って、いつも俺を一人にする』 裕太? 『俺は…未結が一人にならんよう一緒居てやっとったのに…。俺が居らんかったら未結なんて両親のいない…本当の一人ぼっちやん』 …裕太…やめて。 『俺はえぇもん。あんな人として壊れてしまっとっても、あの人は俺の母親やもん。大切な肉親やもん。せやけど、未結はどない?内山さんやって、本当の親やない』 やめて…やめてって言ってるの。 『せやから未結は一人や。正真正銘のひとりぼっちや!』 「あぁあぁぁああああ!」 頭いたい。左腕の傷が疼く。声が消えない。誰か…ねぇ、誰か…。 「月浦?」 「…くろ、つ…か君?」 縋った相手はクラスメイト。きっとこの思いを告げても分かる訳のない痛み。ねぇ、この痛みを消すために貴方は私に一服盛ってくれるかしら? あぁ痛い。頭が痛い?違う。…心が痛い。 ××× 病室の中、うっすら目を開けた裕太は自分が生きていることを不思議に思った。 「なんやここ、おかん…俺の首締めて殺そうとしたんやなかったっけ?」 夜中深く、裕太の周りにはカーテンが引かれており他の入院者達は眠りについているのが容易に分かる。裕太は上体をゆっくり起こすと右肩に痛みが走った。包帯が巻かれている所を見ると、この右肩は何らかの故障を起こしているらしい。痛みに耐えかねて裕太は上体を起こすのをやめて床に着き、溜め息を吐く。静かに聞こえる他人の吐息に殴りたくなる衝動に駆られる。 いや、殴りたくなるとはなんとも物騒だ。別の言葉を使うならその幸せをこっちの不幸と変えてほしい。確かに病気や怪我で入院しているのは違いないが、そうやって静かに夢へと誘ってもらえる事自体、裕太にとって幸せなことだった。実際、たった今見ていた夢も未結が裕太へ別れの言葉を述べているシチュエーション。裕太の避けたい夢であった。 「おかん…どないしとるやろ…。酒飲み過ぎやから、そういう治療してもろとるやろか…。あ、それよりこの入院費誰が払うんや…そないな金何処にも残ってへんのに」 別に考えなくても良いのに、そんなくだらないことが次々に浮かんでくる。寧ろ、母親のことなんて今は考えてはだめだと言われているかのよう。 「…あぁ、未結怒らせてもうたけど…左腕大丈夫かいな。…ってか、俺思うねん。ずっと前から思っとったんよ?」 もう、誰も傷つかんとって…。 → |
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