『目指すもの』

 バカやって、今しかない高校生活を満喫してきた。
 毎日が楽しくて、今を確実に良い思い出にしていった。
 でも。
 後一年半もすれば、俺らは別々の道へ進んでいくんだ。
 だけど俺は、まだちゃんと未来を見据えていない。
 やりたいことたくさん、でもずっとし続けていきたいっていったらそうでもない。
 進路調査なんてなけりゃいいのに。
 ずっと遊べるならいいのに。
 俺の夢って何だろう。


「本宮ぁ、お前だけだぞ。調査表出してないの」
「あ〜……先生もうちょっと待っててよ」
「明日までに出さないと、夏休みなしだからな」
「へぇい」


 コンビニ店員、本屋の店員、バイト経験こんなもん。でもどれも別に一生の仕事にしたいわけじゃない。
 俺の好きなこと。
 遊ぶこと、目立つこと、バカやること、子供と戯れる。

「保育士……」

 珍しく図書室へ行った時に見つけた職業の本の一ページにあった保育士の仕事。
 子供を相手にするわけだから、体力的にも精神的にもきついだろう。
 けど、俺の中で一つ未来への道が明るくなった。

「保育士、いいかも」

 髪に大きく書いた三つの漢字。くしゃくしゃになっていたそれを渡した時、先生はかなり驚いていたけど、書いてみた本人は意外と本気になっていた。


 本宮忍、将来保育士になります。




09.08.30 UP

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