『居眠り』

 授業とは、時にして大変つまらなく、眠くなってしまうものです。
 こっくりこっくり舟を漕ぎつつ耐える者もいれば、睡魔に体を委ね、ノートにペンを突き刺したまま眠る者も……。そしてここにも一人、睡魔に負けて眠っているアホが一人。

「ん……もうポッキーの海におぼれていたい」
「はぁ……」

 通称トミィや草ちゃんと呼ばれる男、富永草介。昼休みに食べに食べて遊んだ彼は、さながら昼寝を貪る幼児だ。今行われている数学の教科書の表紙とこんにちはをしたまま完全爆睡モード中である。しかも、涎までたらして。

「起きろ、富永……」

 毎回毎回、富永は同じように眠るので、今日も半ば呆れつつ、数学担当の男性教師が彼を起こす為に授業を中断させる。

「まだ、ポッキーあるの……?」
「富永、今は授業中だから、起きて数式を解くんだ」
「うぅん。もうたべられないって……」
「いい加減にしないと先生怒るぞ」
「えへぇ。今度はムースポッキー……」

 懸命に起こしていた先生も、あまりの草介の態度にイラっときたのか。草介の机を、持っていた教科書でバンっと叩いた。

「富永!」

 大声で名前を呼ばれた草介は、かなり慌てた様子で立ち上がると、何を思ったのか。先生に負けないくらいの大声でこう叫んだ。

「はいっ、元気です!」

 草介の左隣、教室の後ろに位置する窓際の席で見ていた忍と杉山は、草介の台詞に頭を抱えると、アホ。二人して草介にその言葉を贈った。


 その後、草介が教科書で頭を叩かれ、廊下に立たされた為に教室中に笑い声が起きたのは言うまでもない。

09.03.01 UP

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