『ち(自主規制)握りつぶすぞ。』
前日、彼の豪邸には忍が泊まっていた。 忍がやろうと持ちかけてきた格闘ゲームに付き合い、適当にやって寝るはずだった。けれど、彼が強すぎるのか、忍が弱すぎるのか。勝つのは決まって彼の方。 もう一回、と迫る忍に、彼は嫌々ながら付き合い、それは最終的に朝五時までかかり、計六十七回戦った。 そしてそのまま起き続けて学校に向かい、癒しである加奈子にも会えず、屋上に昼寝をしに行った彼は、すこぶる機嫌が悪かった。 なのに……。 そんな彼の耳に飛び込んだのは、不良グループの一人がか弱い男子に金を要求している声だった。 「ほら、言い訳はいいから出せよ」 寝ているのを邪魔されるのが大嫌いな彼。 「で、でもボクほんとにもうお金な……」 それがかつあげの声となれば、さらに怒りは増大するもので。ついでに言えば、 「ごちゃごちゃ言ってねぇでさっさと」 「こっから立ち去らねぇと、てめぇのち○こ握りつぶすぞ、ぁあ?」 彼、草介はすこぶる機嫌が悪かった。 綺麗な顔の人物がキレると怖いというのはよく言ったもので。草介よりも身長があるはずの不良グループの男子生徒は、彼の逆鱗に触れて縮みあがると、声も上げることが出来ずに、バタバタと屋上を立ち去っていった。 残された男子生徒も、落ちていた財布を草介に拾ってもらい、さっと頭を下げると足早にそこから去っていった。 誰もいなくなった屋上。程なくして、お弁当片手に草介を探しに来た加奈子と過ごしながらご飯を食べる彼は、まるで天使のよう。 その後、昼休みが終わるまで加奈子の膝枕でぐっすり眠った彼は、機嫌良く午後の授業に向かったのだった。 教訓。 殺されたくなければ、眠る草介を邪魔してはならぬ。 「えへっ、面白い教訓だね」 ちゃんちゃん。 09.03.23 UP |
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