『情報誌』

 高校の休み時間、朝寄ったコンビニで取って来たバイト情報誌を眺める学生が一人。
 見目が良く、クラスの中でムードメーカ的な存在の男である本宮忍。現在高校二年生。そして彼の席の後ろ、今はふんぞり返った本宮のせいで使えないでいる机の主。クラス一の優等生、赤縁メガネの杉山望。

「あぁ、いたいけな高校生にもっと割のいい仕事をくれてもよくないか?かっこいい男が立っているだけでお金がもらえる的なさ。なぁ、杉山?」
「交通整理のバイトでもすればいい」
「俺にあんな地味なバイトをしろってんのか?」
「だって、立ってるだけで。って言ったから」
「そういう意味で言ってるわけじゃなくて……」

 と、忍と杉山が話をしていると、大量のポッキーを手に売店から帰って来た茶髪のアホ毛男、富永草介が二人の元にやってきた。

「ねぇねえ、何の話?」
「あ、草ちゃん」

 二人の座る席に椅子だけを持って来て座り、机の上にポッキーの箱をぶちまける草介。五箱くらいを毎日昼食の一部として食べる彼。とはいっても、太っているわけではなく、むしろ痩せ型な人間である。

「ねぇ、何の話?」
「あぁ、いや忍がバイト探してるんだけど、いいのがないんだってさ」
「無料の情報誌じゃ限界ってやつなんだろうなぁ」
「あ、オレももらって来たんだ。……はいっ」

 ぽんと置かれた情報誌。それは忍が持っているものより数倍も分厚くて、確かに“いいバイト探しの本”ではあった。しかしそれにはひとつ問題が……。

「なぁ、草介君や」
「ん?何?忍」
「お前これ、もらって来たって言ったよな?」
「うん。学校前のコンビニで」
「……なぁ、これ見える?」

 そう言って忍が指差した本の表紙の一部分。そこには大きな文字で『二百円』と書かれている。

「二百円……」
「金……払った?」
「いんや?」
「……今すぐ払ってこい!」

 バカな高校生のくだらない日常。

09.03.01 UP

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